インタビュー マーケター 猪飼健晋
「縁の下の力持ち」 〜“人財“を集めることで企業の基盤をつくる〜 猪飼健晋
猪飼健晋 プロジェクトリーダー、webマーケター
「ミクロの視点」を持った運用
広告は、PRを作ってターゲットにただただ垂れ流しで配信するだけでも表面的には終始完結できます。 ですが、広告で一番大事なのはいかに細かな数値「ミクロな視点」を持って適宜改善していくか。これが毎月高反響を出し続けるための秘訣となります。 神奈川県の型枠解体さんの求人動画広告を運用した時のことです。 なんと初月に反響が1件しかこなかった事態が発生しました。 その際、細かなデータ分析を実施したところ、ホームページへ移ってもらってからの応募率はかなり高かったのですが、広告動画自体の視聴率で見ると3秒から5秒の離脱率が異常に高いことが明らかとなりました。 考えられる原因は2つ。 1つは動画クリエイティブのインパクト性が欠けている。 もう1つは、6秒から8秒までの間で福利厚生をコンテンツとして打ち出していたが、それは今回のターゲットエリアで求められている情報ではないのではと推測しました。
そこで翌月の打ち出し方としてはこのようにしました。 初めの引き付けの餌として、導入動画の効果音や画面の切り替わり方を変更し、インパクト性を重視したクリエイティブ作成を、また、3秒から5秒の人間関係について訴えかけている間の滞在率が高いことから、人間関係のコンテンツを冒頭に落とし込み、動画滞在率やホームページのクリック率を高め、応募に直結させる等、いろいろな数値を分析し試行錯誤していきました。 その結果、2ヶ月目には形勢逆転し6件の応募を獲得することができ、その次の月は応募7件とさらに練度を高め、平均しても月6件の応募数を獲得し続け、再現性を持った運用ができております。 そのエリアの市場が何を求めているか、職に対して何に価値観を持っているのか等は、そのエリアや職種、年齢等によって全く変わってきます。 ですので、他にもフリクエンシーであったりエンゲージメント等の細かなデータから原因追求する「ミクロな視点」を持って解析し、そのデータをもとに毎月の一手を打ち出して完成度を上げていくことが、毎月毎月高反響を出し続けることができる秘訣であり、これからも精度の高い運用に励んでいく所存です。
プロとしての心構え 〜10の要望に100で応える〜
このマインドは弊社の代表から教わった教訓です。 ある造園業の会社様の採用プロジェクトの時のお話になります。 造園業は建設業の中で見てもかなり特殊ですので、これまで媒体に掲載するもそもそも見られないことから応募がこないのが当たり前のような状態が続いていたそうです。 クライアント様は商談時に、これまで散々色々な広告を試し費用もかけてきたのに反響がなかったことから、広告に対する不信感はあったものの、なんとか最後のチャンスを僕にくださり一緒に頑張らせていただくことになりました。 商談時には、「うちは少しでも応募に繋げることができたらそれで万々歳なんですよ。絶対うちみたいな田舎で給料も安い会社なんて全然こないからさ笑。おたく、月平均6件来ているなら月2件でも応募が来たら感動ですよ。」とのことでした。 A社長の疑心暗鬼を完全には払拭しきれないままの進み出しでしたが、初月で応募5件を獲得することができ、僕はあまりの嬉しさに弊社の代表に誇らしげに報告すると、「猪飼、そんなんで満足していたらプロとして失格だな。10言われたことに対して100で返す。それが本当のプロだからな」と指摘を受けました。
私はこれまで、言われた目標をこなす、それこそ10言われたら10の結果を出し、満足しているプロ意識のかけらもないスタンスが心の中に潜んでいました。 弊社代表のその言葉で自分の未熟さを痛感し、A社長は2件応募がくることをゴールとして設定され現状満足されていましたが、求人で本当に会社が求めていることは、応募数ではなく長く定着してくれて、さらにはバリバリ活躍のできる優秀な人材ですので、プロとして圧倒的な応募数の獲得はもちろんですが、1件1件の人材の質を上げるための施策にも意識を向けるようになりました。 例えばそのエリアの市場調査を行った際、同会社さんの近隣にある造園の競合会社さんが莫大な広告費をかけてそのエリアの求職者を掻っ攫ってりる状況でした。 そこで、その競合会社さんの社員さんで会社に対して不満を抱いている方を口コミや実際の求職者のリアルな意見を吸い取ったりと、地に足をつけた調査をしていきました。 その結果、同競合会社さんは、組織が成り立っているが故に幹部の目が新人に行き届いておらず、教育体制について不満を抱いているとの意見が数多くあることが判明しました。 そこで、アプローチの仕方を、教育体制の充実性を強調してニーズを握ったコンテンツで打ち出していくことで、応募数はもちろん教育体制に惹かれた自身の成長にコミットできる優秀な人材を1件1件確保することができ、さらには競合会社が莫大な広告費をかけて見てもらった求職者を奪っていく戦略を立て、広告で考えるべき費用対効果も極限まで高められることができました。 A社長からは「あらゆる手法試して反響でなかったから正直信用してなかったけど、流石に想像以上ですよ(笑)」と喜んでいただき、さらには弊社のサービスの紹介にも繋がりました。
これまで、言われたことをイエスマンのように淡々とこなしてきましたが、この体験で再度自身が広告運用の『プロ』としての自覚を持ち、クライアント様の要望10に対して100で返すことで更なる高みを目指すことができるため、顧客満足度に繋がるのはもちろん、自信の成長のためにも、これからもプロとしての自覚を胸に刻み精進していきます。